KISSより大切なもの

| No Comments | No TrackBacks
KISSすなわちkeep it simple, stupid運動はまだ私の中では続いている。余計
な情報をシャットアウト。不要なメールマガジンはどんどん停止している。

だが、ふとある宣伝メールを見てちょっとこれは停止するのをやめようと思っ
たものがある。

それはある北欧のソフトウェア会社の宣伝メールなのだけれど、これが来るよ
うになったのはかれこれ10年少し前までさかのぼる。

そのころ私は入社して数年たつ頃で、少し仕事に嫌気がさしていた。

せっかくいろいろなシステムを作ろうと思って入社したのに、与えられた仕事
は稼働して5年たつ巨大システムの維持というしろもの。工場に行って細かな
改善要望を聞いては情報システム子会社に作ってもらい、テストをして導入し
てという日々の繰り返し。

自分だってプログラミングできるのにあえて自分より能力の劣る人にお金を払っ
て作ってもらうというのはどうにも納得がいかなかった。私はこのまま組織の
中に埋もれて終わるのかなとも思っていた。

そんなある日、となりの部門がある新しいソフトウェアを工場に導入したとい
う話を聞いた。それを使えば、工場の設備の状況を事務所のパソコンからすぐ
に把握できるシステムがつくれるらしい。今後の工場の効率化の土台となるソ
フトとして期待されていた。しばらくしてからなぜか私が呼ばれた。そのソフ
トウェアを使ったプログラムを組むのが難しくて困っているというのだ。

試しにやってみてくれということで私に依頼が来たわけだが、やはりなかなか
難しかった。しかし、直接開発会社の英語の資料を読んだりして猛勉強をした
ら意外にあっさりとプログラムができた。

それが高く評価されたのをきっかけにして既存システムの維持担当から新技術
探索担当に仕事が変わり、いろいろな新しい技術を使っているうちにシステム
子会社の技術部に転勤して新しい技術を全社的に導入する仕事をするようにな
り、その仕事振りが本社の人の目に止まって本社に引き抜かれて、今では全社
の標準ツールを決めたり、業界の集まりに参加して日本の要望はこういうこと
だと海外に行って主張したりしている。思えば遠くに来たものだ。

そもそものきっかけになったのがこのソフトウェアであり、その会社から来る
宣伝メールを見るとあの頃のなんとかしなくてはという気持ちが思い出される
のだ。

だから初心を忘れないようにするためにこの会社からの宣伝メールは停止する
のはやめようと思ったのでした。


No TrackBacks

TrackBack URL: http://systems-power.com/home/mt-tb.cgi/559

Leave a comment

Powered by Movable Type 5.02
Follow systems_power on Twitter