日本情報経営学会誌Vol.20 No.1を読んで

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Vol.20 No.1の特集はITと経営革新であった。

大阪市立大学の湯浅准教授は「創造的二層構造経営システムの考察」で創造的
経営システムは、オペレーショナル・マネジメントとプロフェッショナル・マ
ネジメントの二層構造を持つとし、それぞれを考察する。しかし、それをITが
どう支えられるのかに関する考察は十分とは言えない。

大阪成蹊大学の朴准教授は「IT活用による顧客関係性の革新」を出しているが
要はメンバーズカードによる忠誠関係を作る話で目新しさは無い。

東京海上日動火災保険(株)の神山氏は「地域のマーケティングにおけるITと経
営革新」で鹿児島県のSEM(Search Engine Marketing)の実例を挙げている。し
かし、どこが研究なのか判然としない。

摂南大学の吉田氏による「地方自治体における電子入札の導入に関するリスク
マネジメント」ではやはり一般的なリスクマネジメントに終始し、新規性が感
じられない。

今回唯一興味深い論文だったのは、名古屋大学の劉氏による「管轄エリア内の
コンビニエンスストアにおける新商品の需要予測に関する研究」でライフサイ
クルの短い新商品の発注パターンから需要を予測する研究で、予測手法の選定
過程に説得性が希薄なものの手順の明確化と検証によりその有効性が示されて
いる。

こういう研究論文をより多く読みたいものである。

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