Systems Research and Behavioral Science Vol.26 No.4

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学会誌が届いたので読んでみる。

Elements of a Cybernetic Epistemology:Design Rules for Complex
Goal-Orientated Systems by Helmut Nechansky

フィードバック型システムと目標追求型システムとの間のギャップを様々な機
能要素を追加することで埋める試み。サイバネティクスとフィードバック型シ
ステムを混同しているきらいはあるが、意欲的な論文である。

ただ、個々の機能要素を追加する必然性に関する考察がなく、最終的に提案さ
れる脳の簡易モデルにおいてもそれは示されない。

そもそも目標追求システムと入出力システムは数学的に同じだとすでに示され
ているのではないか。

Pragmatism and Rationalism in the Development of management Science
Methodologies in the UK and France by Alberto Paucar-Caceres

ソフトORに関する評価を英国とフランスで比較した論文。

前半はソフトORの歴史をコンパクトにまとめられており、役立つ。

後半は利用状況のアンケート結果紹介だが、そもそもソフトORは英国発祥なの
だから受け入れられているのは当然であるが、フランスにおける認知度の低さ
が印象的である。日本ではもっと低いのだろう。ソフトORに関わっている私と
しても意識する必要がある。

A Study on Aggregation of Group Decisions by Yeu-Shiang Huang et al

AHP(Analytic Hierarchy Process)を用いたグループ意思決定問題の研究。

AHPは既に廃れたと思っていたが、そうでもないらしい。世代間の選好順序の変
化をとらえようとしているが、必ずしも妥当性があるとは思われない。AHP は
数式を使うのでそれっぽく見えるがベースにあるのは一対比較の加重平均に過
ぎないのである。

The Influence of Digital Standardization on Administrative Efficiency
in E-Government:A View of Standards Development Organizations by
LiChun Chiang et al

台湾における電子政府システムの標準化に関する研究。実際は標準化のために
必要なものは何かをアンケートしてまとめたもの。ITとITの標準化で大きな利
益を得てきた台湾であるが、電子政府によって行政の効率化も図りたいようだ。

Simulating Institutional Controls on Consumption Patterns in the
Commons by Timothy R. Huerta

共通材の消費行動に関するエージェントベースコンピュータシミュレーション
結果の考察。Common-Interested Behaviourが持続可能な市場を形成するため
に不可欠だという結果を導いている。

こういった論文がアメリカの研究者から出ることに驚きを感じた。そういう時
代が来たのだろう。

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